住所:奈良県橿原市久米町650−1   電話:0744−28−4133 よいみみ

北奥耳鼻咽喉科

   

見て理解する耳鼻咽喉科疾患

 

<声帯ポリープ>

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 声帯縁に好発する広基性有茎性の浮腫性腫瘤で、声を強く使う職業の人におこりやすい。

 

図24:左声帯ポリープ

 

<ポリープ様声帯>25ab

  声帯が全長にわたって浮腫状になった状態。図では一部が振子様になっている。

図25a::振子様ポリープ

図25b:振子様ポリープ

 

<喉頭肉芽腫>26ab

 声帯軟骨間部、とくに声帯突起部に好発する。全身麻酔の挿管によるものや過度の発声や咳による刺激によっておこる。手術で切除しても再発することがある。

図26a:喉頭肉芽腫

図26b:喉頭肉芽腫

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<喉頭白板症>27

 上皮の増生による白色の隆起が声帯にみられる。喫煙など過度な刺激でおこることが多い。この中に異型性の高い上皮内癌が含まれている可能性があることから、前癌状態として対処する。

 

図27:喉頭白板症

 

 

<喉頭癌>28a1228b

 喫煙や口腔内の不衛生などの慢性炎症が関係するといわれている。。声門上部癌・声門癌・声門下部癌に分類される(声門=声帯)。声門癌が最も多く、声門下部癌は非常に少ない。リンパ節転移は声門上部癌・声門下部癌には多いが、声門癌には少ない。扁平上皮癌が多い。発声を保存するために放射線療法を中心に行うが、進展例では手術もやむを得ない。部分切除できるようであれば発声機能は残る。

図28a1:右声門癌

図28a2:放射線治療後

図28b:声門上癌

 

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<下咽頭癌>29a13b1b2

 咽頭痛や咽喉頭異常感が初発症状の場合が多い。飲酒との関係が指摘されている。原発部位によって梨状陥凹癌・輪状後部癌・後壁癌に分類される。リンパ節転移をきたしやすい。食道や中咽頭に重複癌がある可能性もある。切除するためには喉頭を合併切除するのが一般的で、音声機能喪失が問題点となる。早期では化学療法後に放射線療法を行う方法もある。

図29a1:下咽頭輪状後部癌遠景

図29a2:披裂部後面

図29a3:披裂部後面近景

図29b1:咽頭後壁癌遠景

図29b2:咽頭後壁癌近景

 

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<咽喉頭異常感症>

 のどに何かが詰まっているなどの異物感を訴えるが、器質的な病変が見当たらない状態。しかし、この異物感を訴えている症例の中に喉頭癌・下咽頭癌・食道癌・甲状腺腫瘍などが潜在していることがあるので、精査が必要。また、逆流性食道炎による刺激によって披裂部が発赤している場合もある。

 

<甲状腺腫瘍>30ab

 良性腫瘍では濾胞腺腫、癌では乳頭癌が多い。濾胞癌と濾胞腺腫との鑑別は術前には困難で、術後の摘出標本で鑑別される。病変が左右どちらかの一側に限局する場合は日本では半葉切除、欧米では両葉の全摘出術が行われることが一般的。手術では甲状腺の裏面に反回神経が走行しているので注意を要する。反回神経を傷つけると嗄声が生じる。

 他の頭頸部癌に比べて予後は良好である。ただ、乳頭癌を発生母地として未分化癌が生じることがある。未分化癌の予後は極めて不良である。

図30a:甲状腺癌頸部転移

図30b:乳頭癌甲状腺割面

 

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<びまん性甲状腺腫>31ab

 他院で慢性甲状腺炎と診断されて長年放置していた症例を示す。甲状腺の腫大のために気管が圧迫されて呼吸困難感が出現しているが、手術は拒否された。血液検査も行っていない。

図31a:慢性甲状腺炎

図31b:慢性甲状腺炎(拡大画像あり)

 

<喉頭麻痺・反回神経麻痺>32

 喉頭には病変が見当たらないにもかかわらず、声帯運動が障害されている状態。声帯運動を支配しているのは主に反回神経(下喉頭神経)であるので、反回神経の走行に沿って病変が存在することを疑う。反回神経は迷走神経から分枝して左側は大動脈、右側は鎖骨下動脈を前から後ろへまわって胸腔に入ったのち、喉頭まで上行する。その間の病変には大動脈瘤や悪性腫瘍(甲状腺癌、食道癌、肺癌など)などがある。左反回神経麻痺による嗄声を主訴として発見された肺癌の症例を呈示する。

肺癌  

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<嚥下障害>

 食道異物や下咽頭・食道腫瘍によって閉塞されておこる場合と、脳梗塞や脊髄小脳変性症などの中枢性障害でおこる場合がある。

 一般に、嚥下しやすい食べ物は患者によって多少異なるが、少し硬めのおかゆや挽肉などややトロッとした噛み切りやすいもので、パサパサしたものや逆に水分の多いものは嚥下しにくい。

 

<急性気管支炎>33a1a2b

 多くは上気道炎と併発する。肺炎球菌やインフルエンザ菌を想定して治療を行う。

図33a1:気管支炎

図33a2:気管支炎気管内部

図33b:急性気管支炎2

 

<気胸>34

 咳を主訴に受診した症例を示す。呼吸困難感はなかったが、右肺がしぼんでいる。

 

 

図34:気胸

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<頸部リンパ節炎>35

 急性扁桃炎に併発して頸部リンパ節腫脹を起こすことが多い。EBウイルスによる伝染性単核球症や結核、虫病、ネコひっかき病などが原因のこともある。発熱が持続したり、リンパ節腫脹が多発したり長期間持続すれば悪性リンパ腫との鑑別が重要になる。原因不明の壊死性リンパ節炎の症例を示す。

図35b:CT

 

<睡眠時無呼吸症候群(SAS)>

動画4a1a34b4c4d4e1e24f、図36図36:視点

 無呼吸とは10秒以上換気が全くおこなわれない状態で、低呼吸とは3%ないし4%の周期的酸素分圧の低下とされる。睡眠時無呼吸症候群の定義は、@7時間の睡眠中10秒以上続く無呼吸が30回以上みられるもの、A睡眠1時間あたりの無呼吸が5回以上のもの、B睡眠1時間あたりの無呼吸または低呼吸が10回以上のもの、とされる。ほとんどが閉塞性で、中枢性は少ない。閉塞性は睡眠時に上気道の筋緊張がゆるんで上気道の狭小化が起こり、胸腔内圧が陰圧になったときに気道が閉塞して無呼吸となるが、呼吸運動はある。中枢性は呼吸中枢からの指令がでないもので、呼吸運動そのものがない。

 ここでは閉塞性睡眠時無呼吸症候群について述べる。臨床症状としては日中の強い眠気、集中力の低下、イライラ・抑鬱状態、夜間頻尿、インポテンツなどがある。また、高血圧の患者の1/3の患者にSASが合併する。肥満や飲酒後の就眠は増悪因子となる。側臥位での睡眠は閉塞を軽減するので、抱き枕を使用したり、寝間着の背中の部分にポケットを作ってその中にテニスボールなどを入れて仰臥位をとりにくくなるような工夫をして、側臥位で寝るようにする。重症例では鼻マスク(nasal CPAP)が適応となる。鼻マスクは器械によって鼻を通じて上気道に持続陽圧をかけて上気道の閉塞を防ぐもので、鼻閉がある場合は手術で鼻閉を軽減する必要がある。軽症例ではマウスピースで下顎を前方に引き出して下顎の後方移動を防ぐことによって、上気道の閉塞を予防する。。口蓋扁桃肥大が原因の場合は手術にて摘出する。

 ビデオではいびきの音源が口蓋垂だけではなく、口蓋扁桃、喉頭蓋なども振動していびきの音源になりうることと、無呼吸や低呼吸が一カ所だけでの閉塞ではなく、舌根と中・下咽頭部分が全体に閉塞して生じていることを示している(視点@:鼻腔から軟口蓋と口蓋垂を観察、視点A:上咽頭から口蓋扁桃や舌根部、喉頭蓋などを観察、視点B:喉頭蓋の高さから声帯を観察)。また、いびきが途切れて呼吸音がしない時は無呼吸や低呼吸になっていることに留意する。

 以下にビデオでの観察の要点を述べておく。

動画4a1視点@から観察。いびきの音源は口蓋垂である。

動画4a2視点Aから観察。無呼吸が起こってしばらくすると、閉塞していた上気道の空間が筋緊張によって拡がり、呼吸が再開される。

動画4a3視点BからAまで移動して観察。視点Bでは上気道の閉塞の状態が垣間見られる。舌根が咽頭後壁と接するようにして上気道閉塞が起こっているが、完全に閉塞している時には内視鏡での観察は困難となる。視点Aでは、下顎を前方へ移動させて無呼吸やいびきの改善があるかどうかの観察をしている。効果はわずかであった。

動画4b視点@からBまで移動して観察。視点@ではいびきの音源が口蓋垂であり、視点Bでは上気道の閉塞が喉頭蓋の高さ付近で、咽頭後壁など周囲の組織があたかも巾着を締めるように閉塞していることが理解できる。

動画4c視点@からBまで移動して観察。視点@ではいびきの音源が口蓋垂であり、視点Bでは舌根が咽頭後壁と接するようにして上気道閉塞が起こっている。

動画4d視点@からBまで移動して観察。視点@ではいびきの音源が口蓋垂付近であり、視点Bでは中・下咽頭の左右の側壁が接するようにして上気道閉塞が起こっている。

動画4e1視点Bからの観察。いびきの音源は喉頭蓋にもある。喉頭蓋が咽頭後壁に接してこの部位での気道が狭小化し、吸気の通路になった喉頭蓋の左縁(画面の右側)で振動しているのがよく見える。この場面での上気道の閉塞は、喉頭蓋の高さ付近で周囲の組織が巾着を締めるように閉塞している。

動画4e2視点AからBまで移動して観察。この場面では、喉頭蓋が咽頭後壁に接して弁が蓋をするように気道を閉塞している。ビデオの後半では、下顎を前方に押し上げると無呼吸が解消される様子が見られる。

動画4f視点AからBまで移動して観察。口蓋扁桃の部位で気道の狭小化が起こって振動しているのが見える。

  

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2005 Kitaoku Ear-Nose-Throat CLINIC